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THE DYSLEXIA HANDBOOK 2001 Vol.1


THE DYSLEXIA HANDBOOK 2001
[Dyslexiaへの特別な配慮について]

特別な配慮は、読みの正確さ、読みの速度、綴り、手書きの速度、手書き文字の読みやすさ、注意力、集中力、不器用さ、ルールへの混乱などに関連する学習上の特定の困難をもつ子供のためになされます。学校長は彼らのサポートをよりよくできるように配慮し、外部の模試団体はこのサポートを考慮し承認する必要があります。その際、試験を執り行う模試団体へ、特定の配慮項目を提出します。Dyslexiaの子供は全ての課目に配慮が必要ということはないので、特定の紙筆のテストや、場合によっては他の形態の検査に適用されます。
配慮の必要性を申告するだけでは自動的にそのような配慮を受けることはできません。年に1度、学期が始まる前に再検査をして考慮することが必要となってきます。特別な配慮の方法は、子供の通常のクラスルームでの学習方法を参考にします。教育心理学者や専門の知識を持つ教師の検査・判断し、心理検査の結果とともに、その子供がそれまでどのような配慮がどれくらい必要だったか、そして現在ではどんな配慮が適用されるかを調査します。テストへの特別な配慮は、子供の過去と現在のニーズが反映されるのです。
また、一般の学校に通っているdyslexiaの子供を持つ親は、なんらかの配慮を受けることで子供が効果的に学習できると感じたらできるだけ早く教師に相談するべきです。

−どのような配慮が必要か?−

* 試験時間を多めにとる
* テストをセクションごとに区切る
* テスト問題をテープに吹き込む
* 色のついた紙にコピーしたり、色の付いた上敷きを使う
* 図の表示
* 器具や教材や補助具の使用
* 辞書とスペルチェッカーの使用
* 読み手の使用
* 口述筆記者の使用
* 書写
* 個室や学校外でテストを受ける


* 試験時間を多めにとる
dyslexiaの子がいるクラスのテスト時間を約25パーセント増しくらいにします。そのような割増時間は、子供が身体や感覚機能や読み書きのスピードに影響するような学習の困難がある場合、それに関連した領域のテストを実施するときに使用できますが、限られた時間でどのくらい課題ができるかを計るテストでは使用できません。読み困難を持っている子供にとっては、英語のテストで時間を延長することは必ずしも毎回有効だとは限りません。また、暗算のテストに関しては、視覚にも聴覚にも運動能力にも問題のない子のテスト時間を数秒長くしても効果はないと思われます。
このような割増時間は、すべてのテスト時間において必要な子もいれば、2、3セクションの課題でのみ必要な子もいます。

* テストをセクションごとに区切る
時間を割増することは、集中力が切れやすい子にとっては逆効果になってしまうので、テストをセクションごとに区切ってその間に休憩を入れます。その休憩時間は、テスト時間に加算されません。区切られたテストの総括的な時間は区切られる前と同じようにします。子供がテストの範囲すべてに手をつけられるようにすることは、子供の到達レベルを理解するためにはとても重要なこととなるのです。

* テスト問題をテープに吹き込む
数学や科学のテストでは、問題読み上げテープを使用すると効果がある場合もあります。普段の授業では、教師や指名された生徒が教科書を読み上げてすすめていくので、そのようなサポートがなされています。テープは英語で吹き込まれるので英語のテストでは使用できません。
数学や科学のテスト問題はテープによって明確に指示されますが、その指示は問題用紙に書いてある文字の通りに吹き込まれなければなりません。言葉を代えて吹き込まれるテープも使われることもあります。そのような場合、子供はテストを受ける前にテープを使うことに慣れておくことが必要です。このような練習目的で使われるテープはテスト問題に無関係なものでなくてはいけません。

* 色のついた紙にコピーしたり、色の付いた上敷きを使う
色の付いた上敷きやフィルターレンズを使うこともできます。
Dyslexiaの子供の中には色付き上敷きやフィルターレンズの使用が有効な子供もいます。日常でそれを使用して効果があるなら、テスト中も使うべきです。

* 図の表示
表やグラフなどの図に陰影をつけたりなど変化を少し付けることで、子供の認識のしやすさを高めることもあります。空間認知に困難がある子供にははっきりとした線の表示が必要となります。普段の授業でやっているように、図を拡大したり切り抜いたり浮き上がらせたりカードや他の教材と重ねたりできるようにします。しかしこのような場合、特に数学において、テスト問題自体が違ったものにならないように十分な配慮が必要となります。図表それ自体を変えてはいけません。

* 器具や教材や補助具の使用
数学や理科のテストで図示されている物の実物を呈示するのも効果的です。数学では実物の形と大きさが図のものと全く同じになるように配慮しなければなりません。数字に関する道具はテストで使わないようにするべきですが、数少ないながら存在する先天的にサポートが必要な子供には、普段の授業で使用して効果があるなら数字のブロックのようなものを使用してもよいかもしれません。適切なサポートが受けられないからといってどんな子にも計算機を使わせてしまうのはよくないことです。
位置の対称などが問題に含まれている場合、鏡を使ったり図形を書き写したりできるようにすることも効果的です。
科学では、テスト問題に書かれている器具や教材を実際に見せるのがよいこともありますが、それで実際に実験を行うなどしないように注意します。
ワープロなどの機械的で技術的な補助具は、手書きを目的としたテスト(漢字や英単語のテスト)以外の全てのテストに活用することができます。(解答のプリントアウトの時間はテスト時間に入れません)しかし、英語のスペルのテストでスペルチェッカーを使ってはいけません。

* 辞書とスペルチェッカーの使用
辞書やリストや用語辞典を英語の読みやスペルや実力テストで使ってはいけませんが、普段の授業で使用して効果があったなら、書きのテストで用語辞典はだめですが、辞書は使用できるかもしれません。スペルチェッカーはスペルのテスト以外なら何にでも使用できます。
暗算のテストなどでは、計算リストの使用は不適切です。
百科事典や用語辞典などは数学や科学のテストで使用すると不公平を生じるので使うべきではありませんが、スペルチェッカーを使用することには何の問題もありません。

* 読み手の使用
時間を大幅にロスしない限り、数学や科学のテストの問題文を他人に読んでもらうことは効果があることかもしれません。数学や科学のテストに適用することは出来ますが、単語の読みとりのテストや、英語のテストの問題の指示以外にはこれは使用できません。その場合、子供の読み困難の度合いをあらかじめテストしておきます。配慮の許可には、読み能力と推理力の間に著しく差が認められることが必要です。
読み手はテスト科目の担当教師がやる必要はなく、他の教師やサポートアシスタントが担当します。読み手はテスト形式に慣れていて、その指示を簡潔に伝えていかなければなりません。読み手が準備のためにテスト問題を時間よりも早く見ることは許可されます。
読み手は各子供のサポートが必要な領域に配置されます。たくさんの子供がそれぞれ特定の領域でサポートを必要とするので、複数の教師やアシスタントが必要となってきます。

* 口述筆記者の使用
時間をロスしない限り、数学や科学や英語のテストで口述筆記者を使用することは効果があるかもしれません。書くことが必要なテストにおいて、自分の解答を書くことやワープロを使用できない子供は、口述筆記者をしようするのが良いと思われます。子供が手書きで行うテストを受けることが出来ない場合、その子供の他の領域での平均点が与えられます。スペルのテストに口述筆記者を使用する場合、子供が筆記者にそのスペルを1語ずつ伝えなければなりません。このため、このような子供達は個室でテストを受ける必要があります。口述筆記者は子供の言葉や言い回しや句読法をそのまま書き写さなければなりません。数学や科学のテストで図や表やグラフを書くときには、子供の指示に忠実に従うようにします。

* 書写
全国模試などで学校外の採点会社が採点するときに、子供の手書き文字が読みにくい場合、それを他の人が書写するといいでしょう。その際に子供が実際に書いた答案も、書写されたものと一緒に送付する必要があります。書写は子供の答案が完成されたらできるだけ早くつくります。書写をする時には子供にそれを読み上げさせてつくりあげていくのですが、この時点で答案に書いてあることと食い違わないように注意します。子供が読み上げる時点で元の解答に書かれている謝ったスペルを正しいものに変換して書写している人に伝えることもありますが、これは承認します。句読法や言い回しは子供のものに忠実に従います。
ブラインドタッチの能力を習得すれば、英語のテストで書写のサポートは必要なく、数学や科学のテストに限って、これでは学校外の採点者が読めないだろうと思われたときに書写をします。

* 個室や学校外でテストを受ける
テストで長時間集中できなかったり休憩が必要だったり割増時間が必要な子供には、個室を使用することを許可します。

[結論]
ある子供の能力を他の子供のものと比べるテストはさまざまにあります。Dyslexiaの子供を受け持つ教師とその親は、特別な配慮を利用したさまざまなテストの受け方を考える必要があります。そのような配慮が要求された日時と、執行された日時を書き留めておくのも重要なことです。テストが終わってから何かしらの配慮を考えることはできないのです。




Dyslexiaのための学校づくり

Dyslexiaのための学校をつくるということは、全ての子供にフレンドリーな学校をつくることと同じことです。Dyslexiaの子供達が、あらゆる学校の特別なニーズへの要求の大部分を形作っているので、彼らに最適な教育方法は、他の全ての子供達にとって効果的であるといえるのです。結果的に、dyslexiaの子供も含めた全ての子供に、よりよいサービスを提供できる学校を造ることができます。
そのような学校をつくる際に、どのような困難があり、どのように克服したかを、現実的で実際的な事例を提示して、考えていきたいと思います。

論点1
学校には、dyslexiaについてや、またそれに対する最適な教育方法についての知識の「ポケット」があります。子供がよくなれるか、反対に悪くなってしまうかどうかは、担任の先生にかかっているのです。

対応
校長やスタッフがつくったその学校独自の方針や考えは変容の可能性を大きく含んでいて、いつも再定義しようとする姿勢が必要となります。また、日常の活動の中で校長が協力的で専門的な方法で子供を援助し監督することが必要とされます。

起こりうる問題点
学校の教育方針の改革に反対するスタッフがでてきます。彼らには、励ましや実際的なサポートや、dyslexiaの子供に対する学校の配慮の変革が必要なことを認識することが必要となります。

成果
学校中の誰もがdyslexiaの性質をよく理解し、うまく協力して、dyslexiaの子供が自分自身を効果的に学習できバランスのとれた人間であると感じ、また実際そうなるように導いていきます。


論点2
一般的に、教師はdyslexiaの子供への教授方法を身につけるためのトレーニングを受けてはいません。彼らは親や専門家の知識のレベルより劣っていると感じています。教師のアシスタントはそのような子供達にとって重要な地位を占めますが、サポートシステムは充分でないと感じています。

対応
この問題を克服するためには1日か2日間のトレーニング日をつくることが効果的だと思われます。ここには教師のアシスタントやボランティアの人たちも参加し、HornsbyやDyslexia Instituteなどの専門家の養成センターによって執り行われます。できる限り多くの教師に、追加のもっと専門的なトレーニングコースを提供して、よりよい知識と技術を身につけさせ、学校の同僚にそれを伝えていくというのも良い考えだと思います。

起こりうる問題点
このトレーニングコースへの資金調達が問題としてでてきますが、そのような目的への助成金を提供してくれる機関があります。

成果
学校のスタッフが、多感覚を使うなどといったdyslexia用の教育技術に対しての理解を深め、その技術をうまく使うことができるようになります。実践的な知識を増やし、お互いに関心と熱意を共有することは、教育を受ける子供にとっても効果的であります。


論点3
どんなによい技術を身につけ、一生懸命従事しても、一人の教師ができることには限界があります。子供の能力が多岐に分かれている学級の中で、個々人の教育ニーズに応えるには、時間も人手も足りないのです。カリキュラムが複雑になり教育ニーズも多様化したため、よくトレーニングされたアシスタントの手助け無しには15人以上のクラスに適切な教育を施すことはできないのです。

対応
年の初めに一定以上の技術能力を持つアシスタントを雇う予算を計画します。学校は彼らに、サポート教材の使用方法や不安や心配事への取り組みについてのトレーニングコースを提供する必要があります。

起こりうる問題点
このようなアシスタントが学校に大きな利益を提供することに、学校の経営者が気づいていないことがあります。しかし読み書きや計算の授業風景をちょっとのぞいてみれば、その必要性がわかると思われます。予算が必要なものは他にもたくさんありますが、その中には、このアシスタントの採用ほど子供達のサポートをすることができるものはほとんどないでしょう。

成果
子供のさまざまなレベルに適切に対応した読み書きや計算の授業が全てのクラスで行われるようになるでしょう。あらゆるレベルの子供達をよりよくサポートするためにトレーニングを受けたアシスタントがいて、子供達が学習する上で困ったことや手助けが欲しい問題が起こったときなどにはすぐに適切なサポートを与えます。クラス学習は改善され、スタッフの意気込みもそれに伴って上がります。


論点4
学習困難を持つ子供の親たちは、学校が適切なサポートをしていないと感じることがあります。しかし彼らはどうやって子供をサポートしたらよいのか、その困難さの原因は何なのかがわからないのです。

対応
学校の方針を親とともにつくったり、不安に思ってることやその解決策を議題にしたディスカッションを定期的に行えば、親は学校の行っている状況がわかるでしょう。そのようなふれあいは公式的で堅苦しいものでなく、不安に思っている状況に有効なものとなります。そのような業務は必要最低限に簡潔なものとして、必要なときに情報が取り出せるようにしますが、教師の役割である子供の教育やケアといったもっと重要な仕事がおろそかにならないようにします。

起こりうる問題点
親とのよりよいコンタクトをはかることは、それなりに時間がかかります。教師はそのことで本来の仕事やプライベートの時間が削られないようにスケジュールを組む必要があります。

成果
親は学校やそのスタッフと一緒に行動するようになります。そのことで子供の困難さの性質をよく理解でき、安心するようになります。そして子供の学習レベルを改善するための実践的な方法を喜んでサポートするようになります。


論点5
dyslexiaの子供たちは、行儀が悪かったり、クラスでおどけものの役をしたり、遊んでいるときに繰り返し怒ったり不機嫌になったり、いじめたりいじめられたりとても引っ込み思案で内気になったりといった、自尊心の低さを示すことがあります。彼らの学校での学習の進み具合や、彼らが自分自身を頭の悪い人間だと感じざるを得ない状況が、自分は落ちこぼれだという感情を助長し、自信がないままふるまうことが多くなります。

対応
それぞれの子供が活躍できる場をその子供に応じてつくり、dyslexiaの子供も他の子供と同じように自分が価値ある人間だと思えるようにします。毎週、生徒全員が他の生徒に対して学校外での活動を話したり、持っている技術や知識を発表する場があると、生徒はそれぞれ違っていてそれぞれに自分だけの能力や可能性があること評価するようになるでしょう。成績優秀な子供は通常の授業の中でいつも誉められますが、デザインやテクノロジー、音楽、美術、ドラマ、ゲーム、体育などの部門は、dyslexiaの子供が輝く場です。彼らの能力を適切に評価し価値付けすることは彼らの自尊心を高めることになる上に、全ての子供が他人の能力を評価する姿勢を身に付けることにもつながります。

起こりうる問題点
現在の国の方針は、主要科目のテスト結果に大きく重点を置いたものとなっています。親や教師は、子供がそのような科目のテストで良い点をとることだけに躍起になり、1人の子供の全体像を見ようとする姿勢が失われやすくなります。政府はそのような教育を改善しつつあるようですが、国が求めているのはやはり教養があってバランスのとれた人材なのです。

成果
子供自身のスキルや能力がどんなものであれ、学校は子供が自尊心を持ち自分自身が輝いた価値ある存在だと思えるような教育をします。Dyslexiaの子供は自分は特殊な学習スタイルをしていることを知り、違う方法でうまく学習します。彼らやその他の生徒はお互いの違い、個性を尊重できるようになります。


Dyslexiaのための学校は積極的に、興味深く学べる場所です。というのも、この学校にいる誰もが、大人も子供も、自己に対する価値を感じ、他と関係を持ち、チャレンジ精神を忘れず、個として尊重されるからです。Dyslexiaは異常だとか異端だとかとはとられず、一般社会の一員だとみなされるのです。



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