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海外の文献
#1 DYSLEXIA ITS NO JOKE Practical advice for parents
How Can We Help? Some Practical Advice For Parents
 これからご紹介するテキストはイギリスの「Bedford Dyslexia Association」が1993年に発行した「DYSLEXIA ITS NO JOKE Practical advice for parents」という小冊子で、LD児を持つ親に配布されたものです。23ページで構成されているこの小冊子は「この症状にはどのような対処が必要か」が簡潔に分かりやすく書いてあります。ここに全文を翻訳し、分かりやすく「意訳」したものをご紹介します。ダウンロードして、できればプリントアウトしてごゆっくりお読み下さい。
| はじめに・記憶・つづり・読み | 書き・数学・順序立て・不器用な子ども | 場所・時間・整理整頓・行動 |

 はじめに

 失読症の子どもに対して親がする教育に必要なものは「時間」と「忍耐」、そして「愛情」だけです。この三つの重要な要素はどれも金銭的なものではなく、どの親にでもすぐに実践できるものばかりです。


*時間 

 失読症の子どもの多くは何をするのにも「長い時間」が必要です。子どもが何かをしようとしているときは「時間が長くかかる」ことを理解しましょう。

*忍耐

 子どもが何かをするときに時間がかかってしまうのを見ると、親は子どもの症状が悪くなっているように感じます。しかし、それをじっと我慢する忍耐が必要です。

*愛情

 失読症の子どもたちはその障害のため、いつも不安を感じています。彼らにはつねに「どんな問題があっても自分は両親にとても愛されている」と感じられる環境が必要です。


子どもを教育するときはつねに次のことに気をくばりましょう。

 
・ひとつの課題を子どもができる範囲で細かく分け、より小さな課題にしていくこと。
 ・子どもにプレッシャーをかけないこと。
 ・子どもにとって観察は重要な学習だということを忘れず、自分のやることを子どもに観察させること。
 ・親も失読症だった場合は、友達や隣人に助けてもらう。
 ・学校で子どもの症状が悪化していると感じたときは、その問題点について担任や校長先生と話し合う。それでも状況が改善されないときは、地域の失読症協会と相談する。



 多くの失読症の子ども(と大人)は「記憶」「つづり」「読み」「書き」「数学」「順序立てること」に障害を持っています。子どもが障害を克服するために親が手助けする方法を、それぞれカテゴリーに分け、それぞれのケースにごとに紹介していきます。また、あわせて障害を克服するのにやくだつゲームも紹介します。




 記憶


 ケース1: 童謡が覚えられない

  
対応のしかた  ・口に出して覚える 
          ・体の動きを使って覚える手助けをする
          ・韻を踏み、手拍子をとる



 ケース2: 単純なことづけが覚えられない

  
対応のしかた  ・子どもに面と向かってことづけをくり返し、暗唱させる


  ゲーム:「スーパーマーケットに行きました」

 この遊びは2人以上でやります。最初の人が「スーパーマーケットに行きました。そしてキャベツを買いました。」といって始めます。2番目の人は最初の人の言葉を受け「スーパーマーケットに行きました。そしてキャベツとリンゴを買いました。」と品ものを一つ増やします。同様に3番目の人は「スーパーマーケットに行きました。そしてキャベツとリンゴとグレープフルーツを買いました。」と続けていきます。品ものの名前を途中で忘れてしまった人は途中で抜け、買ったものを忘れず、一番長く続けた人が勝ちです。


 ケース3: お母さんへの伝言を忘れてしまう・学校からのメモをなくす

  
対応のしかた  ・毎日子どもに伝言があったかどうか質問する
          ・学校カバンや制服に伝言メモを入れるためのポケットを作り、先生たちにも同じようにそれを
           使ってもらう



 ケース4: 電話でのことづけを覚えられない 

  
対応のしかた  ・常に電話のそばに紙と鉛筆を置いておく
          ・電話をかけてきた人に、電話番号を確認するようにしつける 


 ケース5: 学校の教科書や道具箱などを忘れてしまう

  
対応のしかた  ・前の夜に準備させる
          ・時間割表に必要なものを書き込む
          ・手伝うことはいいが、すべての準備を代わりにやってあげることはしない
 

 ケース6: 宿題をするのを忘れたり、宿題の箇所を忘れてしまう

  
対応のしかた  ・家と学校を行き来する宿題ノートを作り、先生に子どもが正しく宿題をやっているかどうか優
           しくチェックしてもらう
          ・非常時に適切な情報を教えてくれるようなクラスの友達の電話番号を控えておく



 ケース7: 誤った単語を使用する

  
対応のしかた  ・上下、左右、前後など、問題の単語を定期的に使う
          ・簡単ななぞなぞを使う 例)太郎は8歳、花子は10歳、次郎は6歳、誰が一番年上でしょ
           う?
   
 

 ケース8: 集中力が乏しい 

  
対応のしかた  ・定期的に休息する
          ・課題を一度に長い時間かけてやるのではなく、短い時間で数回に分けてやる。

  
  手助けのためのゲーム:「キムゲーム」
 トレーにものを5つのせ、子どもにトレーにあるものを覚えるように言います。その後、トレーを布で覆い、子どもに何があったかを言わせます。トレーにのせる数は必要に応じて変えてみるといいでしょう。


 ケース9: 色の名前が覚えられない

  対応のしかた  ・「色のテーブル」や「色の場所」を作り、そこを特定の色のものを置いていく。色は週ごとに
           変え、子どもにそこに置くのに適したものを選ぶのを手伝わせる。
          ・子守歌で覚える
          ・色とものを結びつけて覚える 例)バナナのような黄色、草のような緑など

 
  手助けのためのゲーム:「私はスパイ」
 散歩に出かけたときに、子どもに「私は青いドアの家(緑の車がある家など)にいるよ」と伝え、見つけさせましょう。


 ケース10: よくものをなくす

  
対応のしかた  ・すべてのものに名前を書く
          ・ものをチェックする習慣をつけさせる。



 ケース11: 場所や名前を簡単に覚えられない

  対応のしかた  ・目に見える物と関連づけて覚えさせる 例)ロンドン−ビッグベン−テームス川、東京−後楽
            園−東京ドームなど
          ・単語と関連づけて覚えさせる 例)朝、朝ご飯


 ケース12: 1度に2つ以上の指示に従えない

  対応のしかた  ・1度に1つの指示で重要な課題をやらせる
          ・1つの課題が完全にできたらほめてあげる
          ・たくさんはげます




 つづり


 ケース1: 文字の音と形を覚えられない 

  
対応のしかた  ・学校と協力して、1度に少しずつ教えていく
          ・子どもに目を閉じさせて、背中に1文字書いてそれが何だったか答えさせる
          ・床に文字の形を描いくように歩いてみる 
          ・黒板や、空中や、砂などに、大きく文字を書く


  
手助けのためのゲーム:「私はスパイ」「アルファベットゲーム」

 ケース2: 学校で習ったつづりを覚えられない

  
対応のしかた  ・学習レベルは適切かどうか先生と話し合う
          ・すべての文字ではなく、1度に少しずつ教えてくれるかどうか先生と話し合う


 ケース3: 学校で習ったつづりを書くことができない

  
対応のしかた  ・先生に子どもが正しく書くことができるようになったかチェックしてもらい、必要に応じて正
           してもらう


 ケース4: 辞書が使えない 

  
対応のしかた  ・音声による辞書を使う
          ・パソコンのスペルチェックを使う





 読み 

   
 ケース1: 読むのが遅い、読むことを嫌う

  
対応のしかた  ・魅力的な挿絵や楽しい写真がある本を読ませる
          ・読書を共有する 例)まず親が1段落(1ページ)読み、子どもが次の1段落(1ページ)読
           む、というのを繰り返す
          ・図書館に行くことを勧める
          ・子どもが自分の力だけでは読めないものは、子どもがその話を楽しめるような読み方で読んで
           あげる
          ・家や、移動中の車の中でお話を吹き込んだテープを聴く


 ケース2: 単語を読み落とす、書いてある順序どおりに読めない

  
対応のしかた  ・ガイドラインを使う 例)定規など
          ・カードに書かれた文章を1文ずつにしたものに切って、読んでいる単語しか見えないようにす
           る
 
 ケース3: 日常単語(これ、その、そして、見るなど)が理解できなかったり、読み間違えたりする

  
対応のしかた  ・ポスターに大きな文字でそれらの単語を書き、家の台所など子どもが定期的に見られ、親が教
          えるのに便利な場所に貼る